GitHub MCPサーバーの実践的活用例
はじめに
開発の現場でAIを活用する方法は、日々進化を続けています。 その中でも個人的に注目しているのは、CursorとGitHub MCPサーバーの組み合わせです。 この組み合わせにより、GitHub Pull Requestの作成やレビューといった作業にも、Coding Agentの支援を受けられるようになります。 本記事では、実際に私が活用しているCursorとGitHub MCPサーバーの具体的なユースケースについて紹介したいと思います。
MCPサーバーの大きな魅力は、Cursorの機能を拡張できる点と、適切な権限管理が実現できる点にあります。これにより、AIを安全かつ効果的に開発プロセスに組み込むことが可能になります。
CLIではなくMCPサーバーである理由
私自身、最初は「AI AgentにCLIを渡せばMCPサーバーは不要になる」と考えていました。
GitHubの操作に関しても、ghコマンドを使えば十分だろうと。
しかし、実際に試してみると、CLIには以下のような限界があることが分かりました。
セキュリティと権限管理
データ取得の制限
出力の扱いやすさ
これらの理由から、AIと開発環境の橋渡しとして、MCPサーバーはCLIよりも適していると判断しました。
業務で役立つGitHub MCPサーバーの活用例
実際に私が業務で活用しているGitHub MCPサーバーの活用例を4つ挙げたいと思います。 私はCursorを利用していますが、VSCode, Claude Codeでも同様の挙動は実現できると思います。 以降Pull RequestのことをPRと呼びます。
Pull Requestの概要をAIに書かせる
ファイルの変更だけのDraft PRを作成し、そのDraft PRのURLをAIに渡すことで、AIはそのPRの変更差分を取得することができます。 そしてAIにそのファイルの変更差分から、PRの概要を書いてというプロンプトの指示をすると、PRの概要を網羅的に適切な粒度で手早く書くことができます。 PRテンプレートがあると、より安定して概要を書かせることができます。 PRの概要を書くのは、一定のコストがかかりますが、コードの意思決定を遡る際に重要な手がかりになります。 PRの概要のドラフトをAIに任せることで、AIが読み取れない人間が下した意思決定を言語化するのに、人間の思考リソースを使うことができます。
Pull RequestのレビューをAIにさせる
PRのURLをAIに渡すことで、AIはそのPRの変更差分とコメント履歴を取得できます。 AIに「このPRをレビューして」と指示すると、コードの変更点を分析し、潜在的な問題点や改善提案を提示してくれます。
特に効果的なのは、AIとの対話的なレビュープロセスです。AIの指摘に対して「なぜその指摘をしたのか」と問いかけたり、「この部分は意図的にこのように実装した」と説明したりすることで、レビューの精度を高めることができます。 GitHub Copilot Reviewer や Claude Code Action のように、AIがPRの変更点をレビューする機能は増えつつあります。 ただ、AIと対話しながらレビューすること、また必要に応じてPR以外のソースコードを参照できることは、エディタ上のMCPサーバーを利用している利点です。
Pull Requestのレビューの打ち返しを支援させる
レビューコメントが付いたPRのURLをAIに渡し、「このレビューコメントにどう対応すべきか」と問いかけることで、AIは各コメントの意図を解釈し、具体的な対応案を提案してくれます。
長文のレビューコメントでも、AIは一つずつ丁寧に分析し、それぞれの指摘に対する適切な対応方法を提示します。 これにより、レビュー対応の負担を軽減しつつ、重要な指摘を見落とすリスクを減らすことができます。 必要に応じてAIのレビューの問題点を指摘し、より良いレビューを実現できます。
Pull Requestの速読・コード考古学を補助させる
コード考古学とは、そのコードがなぜそのような実装になっているのか、過去のログを調べて探すことです。 GitHub MCPは、この作業を効率化するツールとなります。
具体的な活用方法は以下の通りです:
コードの変更履歴の追跡
- 特定のコードの変更が含まれるPRのURLをAIに渡す
- AIが関連するPRの情報を取得し、変更の背景や意図を要約
- 「このコードはなぜこのように実装されているのか」という問いに対して、実装の経緯や意思決定の背景を説明
詳細な調査のための手順
git blameで特定の行のコミットハッシュを取得gh pr list --search "<commit hash>" --state allでコミットハッシュが含まれるPRを検索- 見つかったPRの内容をAIに分析させ、実装の意図や背景を理解
このように、PRの速読とコード考古学を組み合わせることで、コードの文脈を素早く理解し、適切な判断を下すことができます。
その他の活用の可能性
現在はGitHubとの連携に焦点を当てていますが、Cursorの可能性はさらに広がっています。 以下は、今後Cursor上で試してみたいと考えている開発プロセスにおけるAI活用方法です。
Notion / Linear MCPとの連携
- タスク管理や設計ドキュメントの文脈をAIが理解できる
- プロジェクトの全体像を把握した上での支援が可能になりえる
Design DocやADRの分析
- PRの背後にある意思決定や設計背景の理解
- 設計意図に基づいたコードレビュー
- アーキテクチャの一貫性チェック
- テキストファイルでの受け渡しは現状でも可能ですが、動的に必要なファイルを特定し、提供する仕組みが欲しいです
まとめ
AIにコードのすべてを任せるにはまだ不安があります。しかし、Pull Requestやレビューといった「AIに任せるにはちょうど良い粒度の業務」から導入していくなら、MCPサーバーを用いたこのアプローチは非常に有効だと思います。 もし他の活用事例があればぜひ共有してもらえると参考になります。